2018年07月27日
今回は当初、神戸学院大学社会連携部の先生と防災女子の学生さんにお越し頂き「ローリングストック法について・常備食や非常食を活用したアレンジレシピの紹介やアレルギー対応商品の試食会等」の予定でした。しかし、西日本豪雨災害のために急遽延期となりました。
開催変更をフェイスブック、浅口医師会ホームページ等でお知らせしたところ、大阪南医療センター小児科・アレルギー専門医の井上徳浩先生から参加申し込みの連絡を頂き、前半は、囲む会として開催しました。後半は、防災ネットワーク様のご厚意により、アレルギー対応食品の試食を行いました。
アレルギーっ子の最大の安心は病気を治すことである。少しでも食べられる物を増やしておく。そして、非常食は製造ラインでのコンタミも心配なために、あらかじめ試食して確認しておく必要がある。災害時は、ほこり、チリ、粉塵を吸って、呼吸器症状が出やすくなるためにいわゆる喘息がある人は普段から治療をきちんとしておく。ミルクアレルギーの赤ちゃんにはニューMA-1(森永乳業)、アミノ酸乳などがある。災害時には水が使えないので、サランラップなどで皿をカバーして使うと皿の節約になる。
エピペンは誤食の危険がある時(合宿、旅行など)は打ち損じを考えて、2本持っておく方が安全である。間違えて、エピペンを指先に打ったときは、しっかりと指先をもんでおくと血流が早く回復して壊死を防ぐことができる。カバンに入れておくと探すのに時間がかかり打ち遅れすることもあるので、100円ショップなどで安いケースを見つけてカバンに入れておく。
エピペンを打って、20分したら効果が切れる。6~8時間たって症状がぶり返すこともあるので注意する必要がある。
アレルギーは皮膚から感作されて、発症する。皮膚を最良のコントロール状態に保つことが必要で、プロアクティブ療法を継続していくことが大切である。ラテックスアレルギーはゴムを日常的に使用することが多い職業(医療従事者など)や尿道カテーテルを入れることが多い患者、食物アレルギー(ラテックスと似た成分を持つメロン・モモ・アボガド・バナナ・クリ・キュウイ)の人、天然ゴムを扱う職業の人などにみられる。靴下にかぶれるし、歯科医はゴム手をして治療するために歯の治療の際に注意が必要である。検査は、ラテックスだけでなくヘベイン602のチェックも参考になる。
① 湿疹のある皮膚に付着したたんぱく質は、アレルギーを悪化させる(経皮感作)。
② 消化管に入ってきたタンパク質は、アレルギーを改善する(経口免疫寛容)。
離乳食を始める前にスキンケアをしっかりとして、湿疹や皮膚乾燥症、アトピーのない状態にしておくことが必要である。
食物アレルギーの治療は呼吸器(気管支喘息など)、目(アレルギー性結膜炎など)、鼻(アレルギー性鼻炎など)、皮膚(アトピー性皮膚炎など)の外界と接するすべての臓器のコントロールが必要である。特にアトピーなどは目に見えている部分(表面)が良くても、その下(真皮のところ)はくすぶっている状態が続くので、プロアクティブ療法をずっと続ける必要がある。
アレルギーっこママゆうこりんのブログに「アレルギーっ子は災害弱者です。一般的には、防災の備えに対する基本は「自助7割、共助2割、公助1割」と言われています。
自治体に備蓄をお願いすることも大切ですが、自分たちでできることはしておかなければなりません。食事や薬の備蓄、学校や地域での理解のお願い、子供自身もきちんと食べられる物・食べられない物を他人に伝えるなど。自助が前提となって公助があります。」とありました。
今回防災ネットワーク様が、27品目アレルギー食品不使用の試食品をいくつか提供してくださり、実際に作って試食しました。カレーと筑前煮を試食しましたが、温かく、固くなくて、美味しく食べやすかったです。子どもたちにも好評でした。
① 加熱用袋に加熱材とパックご飯とレトルト食品を入れる。
② 水(飲料水でなくても可)130ml入れて閉じる。
③ 20分待つ。
火を使わず、寒い日でも温かい食事が食べられ、飲料水でなくても大丈夫の優れものです。また、しばらくは熱いため、哺乳瓶なども温められます。
今回の豪雨災害でも食料の支援は多くされていますが、アレルギーがあり食べられない方への対策は残念ながら不十分です。
今回の災害を教訓に、より良い対応ができるように考えなければならないと痛感しました。