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2018年06月01日

第1回「ハッピー♥スマイル」 開催報告

1. 開会

  • 【日時】     平成30年5月20日(日)13:00~
  • 【場所】     浅口市健康福祉センター ボランティア研修室
  • 【参加者】   保護者:13名/医師:1名/救急救命士:1名/養護教諭:1名

2. 講演

【演題】「小児アレルギーエデュケーターの役割と患者とのかかわり」

【講師】南岡山医療センター 小児アレルギーエデュケーター  黒岡 昌代 看護師

●小児アレルギーエデュケーターについて

小児アレルギーエデュケーターは日本小児臨床アレルギー学会が平成21年から始めた認定制度で、対象職種は看護師、薬剤師、管理栄養士です。専門知識と技術をもって、コントロールの難しいアレルギー疾患患児・家族への患者教育を通して、治療・生活管理の向上に寄与するものであり、患者・家族、メディカルスタッフへのアレルギー疾患に関する教育の出来る専門職です。昨年4月時点で、約400名の認定者がいます。中四国ブロックでは26人、そのうち岡山県内には現在5人います。

講師の黒岡さんは平成26年に認定を受け、小児科、アレルギー科、呼吸器内科(気管支喘息専門外来)で、活動されています。平成27年11月からぜん息患者教育指導者研修へ参加され(平成28年3月終了)、また倉敷市主催「喘息児のための水泳教室」にも参加されてピークフローモニタリングの実技指導をされています。

エデュケーターは教育者という意味ですが、目指すのは医療者の押し付けではなく、患児や家族が主体的で意欲を持って治療を続けられるように援助していくことです。そのためには、コンプライアンス(医療従事者の指示に従い、患者・家族が望ましい治療行動をとること)よりも、アドヒアランス(患者・家族が治療に納得し、主体的に自己管理や治療行動ができること)に重点を置いています。患児・家族が理解することと納得することは違うので、いかにそのギャップを埋めていくかが課題となります。

子どもは成長につれて、親といる時間が少なくなり、親の目が届かない時間も増えてきます。子どもができることを少しずつ増やしていくことが大切です。最初は、して見せて、次には見守り、次に任せる(でも目をかけることは止めない)というステップを踏んで徐々に自立していけるようにして下さい。小学校の入学や、宿泊研修等の機会を使って子どもができることを増やし、そしてできるようなれば、しっかりとそれを誉めてあげ、認めてあげて下さい。医師や看護師からの働きかけも大切です。

治療の主役はあくまでも子どもです。会話が可能になったら、治療に参加し、症状は子どもが話し、薬についてはどの症状に対する薬か子どもにもきちんと説明を聞かせて下さい。また、親からでなく、直接医療従事者からの説明を聞いたり、指導を受けるようにして下さい。調子が良かったり、悪かったりした時は一緒に原因を考えて下さい。子どもができた時は、しっかり誉めて下さい。

●移行期医療について

子どもはいつまでも子どもではありません。日々成長し、医療も小児科から内科へと移行しなければなりません。様々な慢性疾患で移行期医療が考え始められています。中学生になったら、内科の先生にかかる準備を始めましょう。この際に注意することは、思春期にいったん良くなったようにみえても、成人で再燃することもあるという事です。就職や大学進学に伴う転居の機会に内科の先生へ移行しましょう。共に成長を見守ってくれた小児科の先生から離れるのは寂しいことですが・・・内科の先生としっかりコミュニケーションをとって下さい。先生に言いにくい時は、看護師や薬剤師等のスタッフに相談しましょう。

●本日のまとめ
  • アレルギー疾患と上手に付き合っていきましょう。
  • 治療が続けられる方法を、患者(子ども)・家族・先生・看護師・薬剤師・栄養士・・・みんなで考えていきましょう。
  • 治療の主役は患者(子ども)です。私たちはいつも応援しています!!

平成30年度第1回目のハッピー♡スマイルは、広島市、岡山市など浅口市内外から16人が参加しました。
小児アレルギーエデュケーターのことだけでなく、小児科から内科に移行する際の移行期医療についてもわかりやすく教えて下さいました。
アレルギー疾患の治療は薬物療法だけでなく、環境整備、スキンケア等生活に大きく関わり家族の理解や協力が欠かせません。また、良くなったり悪くなったりと慢性の経過をたどり長期間の経過観察が必要です。また、子どもは成長し、家族だけの生活から保育所、幼稚園、小・中学校といった集団生活に入ります。そこで、子ども自身も自分の病気や症状の出た時の対処等、理解できるようになるためのかかわりが必要になってきて、家族の皆さんも不安に思う事は多いと思います。そういった時のために、小児アレルギーエデュケーターの方々の援助が必要になります。
理解することと納得することは違い、アドヒアランスを目指して日々活動されています。
治療の主役は、子どもであり、子どもができることを増やしていけるよういつも応援していますと力強いエールを頂き、出席された方々も勇気づけられました。
講演会後の、質疑応答にもいろいろと丁寧にお答えやアドバイスを頂き誠にありがとうございました。私は医師として、寄り添うという言葉を教えて頂き「よりそ医」を目指して、日々の診療をしようと思いました。

この日は、大阪狭山食物アレルギー・アトピーサークル「Smile.Smile」代表の田野さんが出席して下さいました。ハッピー♡スマイルの立ち上げからいろいろとお世話になっており、アレルギーフォーラムでもアドバイスや応援して頂いています。勇気をいつも頂き、メンバー一同大変感謝しています。

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次回のハッピー♡スマイルは7月15日(日)浅口市健康福祉センターで、神戸学院大学防災女子の学生さんに「災害時の食について」講義・試食して頂きます。

(浅口医師会 高山晴彦)

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