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2017年10月27日

ハッピー♥スマイル第4回
アレルギーフォーラムIN浅口 PART Ⅳ 開催報告

  • 【日時】     平成29年10月15日(日)12:30~
  • 【場所】     浅口市健康福祉センター 多目的ホール

1. エピペンの模擬体験コーナー

エピペンの模擬体験コーナー

医師がエピペンの使用方法をエピペントレーナーを用いて指導しました。

2. アレルギー関連の資料や試食品コーナー

試食品コーナー試食品コーナー

 

アレルギー対応食品の試食品、アレルギーに関する冊子、米粉パンの試食コーナーを設営しました。

3. 開会

栗山康彦浅口市長様を始め多くのご来賓の方々にお越しいただき、加藤勝信厚生労働大臣様・栗山康彦浅口市長様・渡辺知典県議会議員様よりお祝いのメッセージをいただきました。

ご挨拶をいただきました。ご挨拶をいただきました。

4. 講演

①「転換期を迎えた小児アレルギー疾患の予防と治療」
~アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを中心に~

●国立成育医療研究センター アレルギー科医長 大矢 幸弘 先生

大矢 幸弘 先生

  • 乳児期のアトピー性皮膚炎(AD)はアレルギーマーチのリスクファクターである。湿疹によるバリアの低下→湿疹からアレルゲンが侵入→抗原特異的IgEが増える(原因ではなく感作の結果である)→再度アレルゲンに暴露されると悪化する(食物アレルギーの発症やADの悪化)
  • 従来、アレルゲン暴露による感作を受けて、アレルギー疾患を発症するという“セントラルドグマ”が一般的であったが、最新の知見では、表皮バリアの障害に始まる皮膚へのアレルゲン暴露(経皮感作)が食物アレルギーやADの悪化につながると考えられる様になってきて、セントラルドグマが覆されてきている。
  • これまでに、海外では鶏卵アレルギー予防に関する様々な臨床試験(EAT study, STAR study, STEP trial, HEAP study, BEAT study)が実施されてきた。しかし、いずれもAD乳児における早期の卵摂取による鶏卵アレルギーの有意な予防効果は証明できておらず、急性アレルギー反応などの有害事象が増加した試験もあった。
  • 大矢先生のグループはPETIT スタディを発表し(2017年)、ADを有する乳児への早期鶏卵開始による鶏卵アレルギー発症予防効果を世界で初めて証明した。前述の試験に比べ、「加熱卵をごく少量から開始した」「最初にADへの積極的治療(プロアクティブ療法)を行い、ひふを良好な状態にしてから加熱卵摂取を開始した」ことが成功の大きな要因であった。
  • 2014年には、自施設で出生したAD高リスク乳児に毎日全身への保湿剤塗布でAD発症率が有意に低下したとの試験も既に発表している。つまり、新生児期からの保湿剤によるスキンケアで乳児期のADはある程度予防できる。
  • ADではプロアクティブ療法で、外からは見えない皮下の炎症をしっかりと抑える必要がある。
  • ADと食物アレルギーの増加の要因は、ライフスタイルや環境の変化+遺伝的因子や心理社会的因子が複雑に絡み合っている。これからのアレルギー疾患克服の戦略は、食物抗原の暴露による感作を受ける前に免疫寛容を誘導する事(離乳食の開始を遅らせない)と経皮感作を受けないようにする事(保湿剤、プロアクティブ療法)が一番大切である。
②「アレルギーっ子と子育て」
~食物アレルギーの治療はまずアトピー性皮膚炎から~

●東京都保護者 ゆうこりんママ

今までの子育ての実体験をもとにお話していただきました。
最後には高校生の娘さんよりコメントをいただきました。主治医である大矢先生より解説もありました。

  • 負荷試験の結果、食べられる範囲が分かれば症状を出さない量を食べることが出来る。
     →(大矢先生より)部分的かつ安全に食べていくと、体が危険と認識しない量・安全量が増え、早く食べられるようになる。
  • ただ病院に通っているのと「治すこと」は違う。治してくれる専門医に出会うことが大切である。
  • 心理的なアレルギーを治すことは難しい。
     →(大矢先生より)本人がおいしく食べたいという気持ちで食べられるようにする。心理的なアレルギーを作らないような治療をしていく。
  • 当たり前の生活の中に落とし穴がある。アトピーがよくならないのは何か理由がある(例:毎日パジャマやシーツを洗うなど)
  • アトピー性皮膚炎の治療には、朝シャワーが大切である。朝シャワーには副産物がある。朝早く起きるとご飯がしっかり食べられる。目がしっかり覚めた状態で勉強できる。痒みがなくなり授業に集中できる。「朝シャワーで成績アップ!風邪知らず!」努力は自分を裏切らない。
  • 湿疹の軽いところにもしっかり全身にステロイドを塗っていくと、全身の炎症が減ってくる。減ってきたらステロイドを減量していく。徹底したやり方をすることが大切である。
  • 何歳になってもあきらめない。これまでの治療を否定しない。一人で抱え込まない。情報収集を惜しまない。
  • 子どもはいつか親から離れていく。自分の命を自分で守れる子を育てていく。

5. 閉会

閉会

● 大矢先生を囲む会

小児科医師やアレルギー専門医が大矢先生と懇談をしました。

大矢先生を囲む会の様子大矢先生を囲む会の様子

● ゆうこりんママ・田野さんを囲む会

講師のゆうこりんママさん・大阪狭山食物アレルギー・アトピーサークル「Smile・smile」代表の田野成美さんを囲んでアレルギーで悩んでいる保護者の悩みにアドバイスをいただきました。

● ゆうこりんママ・田野さんを囲む会の様子● ゆうこりんママ・田野さんを囲む会の様子

〜〜アレルギーフォーラム感想より〜〜

【 大矢先生講演 】
  • 食物アレルギーがアトピー性皮膚炎と深く関わっていることを始めて知りました。また、プロアクティブ療法の徹底で、食物アレルギーが克服できるということも勉強になりました。
  • 始めて知る知識ばかりで目からウロコの話でした。今までの常識のまま子育てをしているママたちへ様々なメディアから情報を提供してください。
  • 通う病院や主治医によって治療方針が違い、どうしたらよいのか途方に暮れる時期もありました。ちゃんと正しい知識を持って受診することは必要なことだと思いました。
  • 古い知識にとらわれていた自分を恥ずかしく思いました。医療は日進月歩、日々勉強をしなくてはならないです。しっかり情報収集していきたいと思います。
【 ゆうこりんママ講演 】
  • 子育てと関連付けたお話しで身近に感じ、わかりやすかったです。大矢先生の解説もありとてもよくわかりました。
  • 子どもも10年同じ先生に診てもらっており形だけの診察になってしまっております。今日お話しを聞いてもう一度本気で治そうと思いました。
  • アレルギーのお子さんを持つ先輩ママの貴重な体験、実感のある言葉に勇気づけられ参考になりました。
  • 母と子との共有した思いや子の思いを教えて頂いたと思います。いつも前向きに生きていける時ばかりでないけど時々振り返る機会があればよいなと思います。

今回のフォーラムは、公益財団法人ニッポンハム食の未来財団様、タイガー魔法瓶株式会社様、独立行政法人環境再生保全機構様、ケンミン食品株式会社様より多くの資料情報や試食・サンプルを頂き、参加の皆様にお渡しさせていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

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